あなただけ今晩は

1963年のビリー・ワイルダー監督によるアメリカ映画

あなただけ今晩は』(あなただけこんばんは、Irma la Douce)は、1963年アメリカ合衆国の映画

あなただけ今晩は
Irma la Douce
監督ビリー・ワイルダー
脚本ビリー・ワイルダー
I・A・L・ダイアモンド
製作ビリー・ワイルダー
音楽アンドレ・プレヴィン
撮影ジョセフ・ラシェル
編集ダニエル・マンデル
配給ユナイテッド・アーティスツ
公開アメリカ合衆国の旗 1963年6月5日
日本の旗 1963年11月2日
上映時間147分
製作国アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語英語
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Alexandre Breffort、Marguerite Monnotによる同名ミュージカル(Irma La Douce)を基に、『アパートの鍵貸します』のスタッフ、キャストで作成された作品。

ストーリー

舞台はパリ中央市場(レ・アール)の側の娼婦街カサノバ通り。警察は賄賂を取って見てみぬふりをして、手入れも形式的でヒモたちから賄賂をもらうのが常態だった。子犬を連れたイルマ・ラ・ドゥース(英語に訳せばIrma the Sweet)も娼婦のひとり。ヒモのヒポリートは腕っ節が強く、イルマにも暴力的。そこへ、正直で仕事に熱心すぎるネスター・パトゥー巡査が赴任してくる。

ネスターは勤務初日に娼婦たちが仕事場にしているホテル・カサノバに独断で手入れを行って多数の娼婦を連行するが、ホテルには上司が客として居合わせていた。クビになったネスターは、ビストロ「口ひげ」での喧嘩でヒポリートをやっつけて、イルマも彼にほれ込んだ。そうして思いがけずイルマのヒモに収まってしまう。ネスターはイルマに娼婦の仕事を続けさせたくないあまり、架空のイギリス富豪の客「X卿」をでっち上げ[1]、自ら扮装して大金500フランを払うことで、彼女が娼婦として客を取らなくてすむように画策する。だが、イルマの稼ぎ以外に収入源の無い彼はビストロのおやじ・ムスターシュに借りた500フランが返せず、イルマに隠れて市場で働く。イルマが眠っている間に抜け出して仕事に行っていることがバレ、浮気と誤解されて、彼女を怒らせてしまう。イルマがX卿に英国に連れていくように迫るにいたって、ネスターはX卿を葬り去ることにしたが、セーヌ川にX卿の服や傘を捨てたところをヒポリートに誤解され、殺人の容疑で15年間の投獄になってしまう。妊娠したイルマは娼婦の仕事を辞め、市場の会計の仕事についてネスターの帰りを待つ。ムスターシュの手引きで脱獄したネスターがイルマに会うと、「女の勘だけどあなたではなく、X卿の子どもだ」といわれる。警察がやってきて、何とか逃亡し、警官たちの目の前でセーヌ川からX卿の扮装で浮上してくることで、何とか警察を煙に巻く。

ネスターとイルマの結婚式の日、教会でイルマは産気づき、女の子を出産する。ネスターはX卿の失踪事件を何としても解明したい上司から、警官に復帰するように求められ、大団円となる。…しかし、ムスターシュは存在するはずのないX卿らしき人物が、最後に悠々と教会から出ていくのを見て、目を白黒させる。すっかりわけの分からなくなったムスターシュは口癖の「これは余談だが」といって映画を締めくくる。

キャスト

役名俳優日本語吹替
NETテレビTBS
ネスター・パトゥージャック・レモン愛川欽也
可愛いイルマシャーリー・マクレーン小原乃梨子
ムスターシュルー・ジャコビ英語版富田耕生
ヒポリトブルース・ヤーネル英語版小林修玄田哲章
ルフェブル警部ハーシェル・ベルナルディ小林清志大宮悌二
ロリータホープ・ホリディ英語版曽我町子小宮和枝
ジョジョディッキー・ラーナー納谷六朗
アマゾン・アニージョアン・ショーリー英語版高島雅羅
キキグレース・リー・ホイットニー英語版横尾まり
シュゼット・ウォントゥラ・サターナ尾崎桂子
カルメンシェリル・ドーヴィル向殿あさみ
ナレーションルイ・ジュールダン三遊亭圓楽永井一郎
不明
その他
三遊亭志ん駒
平井道子
片岡富枝
村越伊知郎
北村弘一
小室正幸
谷口節
演出内池望博中野寛次
翻訳木原たけし
効果
調整
制作東北新社
解説
初回放送1972年7月2日
日曜洋画劇場
21:00-23:30
1983年6月9日
『名作洋画ノーカット10週』

Blu-rayにはTBS版の日本語吹替音声を収録。

スタッフ

主な受賞歴

アカデミー賞

受賞
アカデミー音楽賞アンドレ・プレヴィン
ノミネート
アカデミー主演女優賞シャーリー・マクレーン
アカデミー撮影賞 (カラー部門):ジョセフ・ラシェル

ゴールデングローブ賞

受賞
主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門)シャーリー・マクレーン
ノミネート
作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)
主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門)ジャック・レモン

逸話

当初の企画でワイルダーは、イルマ役にはマリリン・モンローを考えていたが、モンローが不慮の死を遂げてしまい、それは叶わなくなってしまった。ワイルダーは、『お熱いのがお好き』の撮影時におけるトラブルから一時期モンローと決別していたが、『アパートの鍵貸します』の記念披露宴で、和解していた。

三谷幸喜は本作をフェイバリットに挙げている。三谷は、本作が日本では劇場で拍手が起きた(ほどの人気があった)という旨をワイルダー本人に伝えたところ、「日本人は変わっている。私はあの映画は大嫌いだ」と返されたという[2]

脚注

外部リンク