出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ネバーランド 』(Finding Neverland )は、2004年 公開のアメリカ ・イギリス 製作の映画。アラン・ニーの戯曲『The Man Who Was Peter Pan 』を原作とし、マーク・フォースター 監督、デヴィッド・マギー 脚本による歴史ファンタジー映画である。劇作家ジェームス・マシュー・バリー が、ピーター・パン のモデルとなった少年と出会い、その物語を完成させるまでを描いた実話を基にした、ヒューマンドラマとなっている。第77回アカデミー賞 では作品賞 、脚色賞 、主演のジョニー・デップ に主演男優賞 など7部門にノミネートされ、作曲賞 を受賞した。2012年、この映画に着想を得たミュージカル『ファインディング・ネバーランド 』が公開された。
ストーリー ロンドン の劇場で劇作家のジェームス・バリは新作「リトル・メアリー」の初日を迎えていた。しかし、観客の反応は芳しくなく、翌日の新聞でも酷評されてしまう。
そんな中、ケンジントン公園 に散歩に出かけたジェームスはデイヴィズ家の若き未亡人シルヴィア[3] と4人の息子(Llewelyn Davies boys) に出会う[4] 。ジェームスは一家と親しくなり、足しげくケンジントン の一家の家まで行く。元女優のジェームスの妻は一家を晩餐会に呼ぶが、夫と家族の親密さに嫉妬を覚える。三男ピーターは父親を失って以来、夢を持つことをあきらめ心を閉ざしていた。心の傷と戦うピーターに、ジェームスは空想で遊ぶことと物語を書くことを教え、その中で物語の着想を得る。サセックス の別荘でインディアンごっこや海賊ごっこをした思い出が『ブラック・レイク島の少年漂流記』という私家本にまとめられ、『ピーター・パン』の原型となり、公演は大成功。しかし、ジェームスはメアリーに別れを告げられる。ピーターの慰めとなったのが「ネバーランド 」というファンタジーの世界だった[5] 。
キャスト ジョニー・デップのジェームス役、ケイト・ウィンスレットのシルヴィア役に加え、ダスティン・ホフマンによるプロデューサーのチャールズ・フローマン役、ジュリー・クリスティによるシルヴィアの母エマ・デュ・モーリエ夫人役、フォースター監督の『Everything Put Together 』で主演したラダ・ミッチェルによるジェームスの妻メアリー役などが配役された。1991年、ホフマンはピーター・パンの続編『フック 』でフック船長役を演じていた。当初、脚本にはホフマン演じるチャールズがフック船長の扮装で脚本の問題点を読み上げるシーンがあったが、ホフマンに反対されたため単に脚本を大声で読み上げ、登場人物名を嘲ることとなった。
ルウェリン・デイヴィス・ボーイズ にはフレディ・ハイモアがピーター役、ニック・ラウドがジョージ役、ジョー・プロスペロがジャック役、ルーク・スピルがマイケル役に配役された。ジョニー・デップはハイモアの演技を見て、自身がウィリー・ウォンカ役で主演する予定であった映画『チャーリーとチョコレート工場 』のチャーリー・バケット役にハイモアをティム・バートン 監督に推薦した[6] 。またイアン・ハートはジェームスの友人アーサー・コナン・ドイル役、オリヴァー・フォックスはメアリーの愛人ギルバート・カナン役を演じた。
劇中劇ではケリー・マクドナルドがピーター・パン役、アンガス・バーネットがナナ役、トビー・ジョーンズがスミー役、ケイト・メイバリーがウェンディ役、マット・グリーンがジョン役、ケイトリン・ライズがマイケル役、ティム・ポッターがフック船長およびジョージ役、ジェーン・ブッカーがメアリー役を演じた。ほかにマッケンジー・クルックが劇場案内係、ポール・ホワイトハウス が舞台監督を演じた。当時82歳のアイリーン・エッセルがジェームスのファンで友人のミセス・スノウ役を演じ、長編映画に出演した最初期の作品の1つとなった。ハイモア同様、デップの推薦により『チョコレート工場』にも出演した。ジミー・ガードナーがその夫役を演じた。
スタッフ プロダクション 2003年秋に公開が予定されていたが、バリーの作品の映画化権を持つコロンビア映画は、同年『ピーター・パン 』公開を控えており、もし同じ年に公開するのであればミラマックスに『ネバーランド』の劇中劇の映像を使用することを許可しないこととした。ミラマックスは劇中劇の映像の使用を条件に、『ネバーランド』の公開を遅らせた[7] 。ピーター・パンが登場する戯曲の初演から100周年を迎える2004年に『ネバーランド』が公開された。
1904年に『ピーター・パン』が初演されたデューク・オブ・ヨーク・シアターのシーンは、ロンドンのリッチモンド・アポン・テムズ区にあるリッチモンド・シアターで撮影された。外観はハイド・パーク 、ブロンプトン墓地、ケンジントン・ガーデンズ で撮影された。DVDリリースの際のコメントによると、バリーの別荘はケント近郊で撮影された。内装はバッキンガムシャーにあるパインウッド・スタジオ 、サリーにあるシェパートン・スタジオで撮影された。
イギリス国内の様々な場所で撮影が行われた。バリーと少年たちのシーンなどファンタジーのシーンはケントにあるラレド・ワイルド・ウエスト・タウンで撮影された[8] 。
受賞歴 舞台 2011年2月6日、アメリカ のカリフォルニア州のラホヤ・プレイハウスはアラン・ニー脚本、スコット・フランケルおよびマイケル・コリー作曲、ロブ・アシュフォード演出および振付により映画『ネバーランド』を基にした新作ミュージカルの制作を発表した[9] 。しかしラホヤ・プレイハウスによる上演が実現することはなかった[10] 。2011年3月31日、ニューヨークにおいてアシュフォード演出によりジュリアン・オヴェンデン、ケリー・オハラ 、トニー・ロバーツ、メアリー・ベス・ペイル、マイケル・クラムスティ、メレディス・パターソンが参加し読み合わせが行なわれた[11] 。2012年9月22日、イングランド のレスター にあるカーヴ・シアターでワールド・プレミアが行なわれた。アシュフォード演出によりオヴェンデンがジェームス役、ウェスト・エンド女優ロザリー・クレイグがシルヴィア役に配役された。
2014年8月14日、2015年3月にブロードウェイ でミュージカル作品が上演予定であることが発表された[12] 。2014年11月10日、プロデューサーは映画版も手掛けたハーヴェイ・ワインスタイン 、演出はダイアン・パウルス、振付はミア・マイケルズが担当し、主演ジェームス役はトニー賞、エミー賞、ゴールデングローブ賞ノミネートのマシュー・モリソン が務めることが発表された[13] [14] 。ケルシー・グラマー がチャールズ・フローマン役、ローラ・ミシェル・ケリーがシルヴィア役に配役された[15] 。2015年、ラント・フォンテイン・シアターにて3月15日からプレビュー公演が、4月15日から本公演が上演され、2016年8月21日に閉幕した[16] 。
脚注 外部リンク キャラクター ディズニー
他 映像作品 舞台作品 関連人物 関連項目
カテゴリ
2000年代 2010年代 2020年代 カテゴリ
1932-1940年 1941-1960年 1961-1980年 1981-2000年 2001-2020年 2021-現在