分光法の先駆者であるスウェーデンの物理学者アンデルス・オングストロームが、1868年に 10-10 m を単位として使ったことに由来する。ただし、特に単位名称は名づけなかった。のちに、その単位がオングストローム単位 (ångström unit) と呼ばれ、さらにオングストロームと略されるようになった。
オングストロームが使った単位は 10−10 m であったが、当時メートル原器で定義されていたメートルより高精度の長さの単位が分光学では必要とされていた。そのため、1907年、国際天文学連合 (IAU) が初めてオングストロームを国際標準として定めたとき、国際オングストローム (international ångström) を、「カドミウムの赤線の指定条件下における波長の1/6438.4696」と再定義した。1927年に国際度量衡局 (BIPM) もこれを採用した。メートルの精度が低かった時代は、この定義は 10-10 m とする定義と矛盾することはなかった。
1960年、メートル自体もクリプトンの橙色線の波長から分光学的に再定義され、国際オングストロームと同等の精度を持つようになった。しかし、国際オングストロームを新しく定義されたメートルで表すと、1.0000002×10-10 m となったため、10-10 m とされるオングストロームと2つのオングストロームが並立することとなった。
オングストロームの単位記号 "Å" はリング付きの大文字A "Å" に由来するが、UnicodeやJIS X 0213ではそれぞれ別の文字として定義されている。なお、JIS X 0208にはオングストローム記号のみが2区82点に定義されている。Unicodeのオングストローム記号は、既存の文字コードとの互換性のために用意されている互換文字である。Unicode標準では、この文字の代わりに「LATIN CAPITAL LETTER A WITH RING ABOVE(リング付きの大文字A)」を使うことを推奨している。「次の3つの文字様記号は、普通の文字と正準等価である: U+2126Ωohm sign, U+212AKkelvin sign, and U+212BÅangstrom sign。これら3つの全ての文字については、普通の文字が使われなければならない。」[5]